浅利慶太プロデュース公演 この生命誰のもの

16.6.5 自由劇場


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劇場入口ではいつものようにパイプいすに座って観客を迎え入れる演出家浅利慶太。前にも言ったが、この光景は全日本プロレスの売店にいたジャイアント馬場さんそのもの。懐かしい。入口で配布された次回公演のパンフレットにはミュージカル「李香蘭」。

正直またっ?って感じが。「異国の丘」を期待していたが。。。やはり野村玲子さんと坂本里咲さんの出演ありきなんだろうか。ダンスアンサンブル多いからか。玲子さんならもう一度「オンディーヌ」を観たいが。どうせならストプレに特化してもらいたい。

一週間の短期公演。日曜であるが、客席はガラガラ。特に2階はウィキッド東京再演を思わせるガラガラぶり。劇場違うが。先日のコーラスラインの客層とも大きく違い、関係者と昔の四季ファンが集まったという感じか。浅利慶太プロデュース公演のなかでは一番セットがしっかりしていた。場面展開は照明のみということもあるか。音楽もないし。

早田を演じた近藤真行。生命の尊厳に対する意思の力強さ、無力さといったものが滲み出ていた。おそらく初見だと思うが、思い出を売る男を演じた松本博之さんといい、タイトルロールをうまいこと演出。台詞が多く、大変な役であるが、感情が入っていた。生と死に対するそれぞれの想いを浮き彫りに。

ラストの主治医の患者に対する想い、早田の想い。「生きる」という意味を考えさせられる。死にたいわけではない、もう死んでいるのだという。

尊厳死に対する考え方や介護の現場、また「七十歳死亡法案、可決」でも書いたように社会保障費の問題等、消費税を10%への引き上げ延期が決まった現在、非常にタイムリーな舞台であった。それだけに、ガラガラなのはもったいない。6月11日(土)まで、まだチケットあるので、観ていない方は是非ご覧ください(私は関係者ではありませんが)。

リアルに植物的人間を演じた早田、近藤真行。それに対して里咲さんは。。。セリフ回しが完全に悪い意味での母音法。一人だけ浮いていた。鋼鉄の婦長という役柄的にはあっているが。里咲さん、好きな役者さんだが浅利慶太プロデュース公演ではイマイチ活きていない。ベルタは良かったが。

次回公演、「李香蘭」では川島芳子。芳子もあってないし。里咲さんはまだまだ、ベルやイザベルのようなヒロインで観たいが。

浅利慶太プロデュース公演では四季とは違い、各所に出演祝いの花が。浅利さんがやるのなら四季でもやればイイのにね。

早田 健(患者)近藤真行
朝田婦長(病棟婦長)坂本里咲
里村恵子(看護学生)川畑幸香
田原洋介(看護助手)与那嶺圭太
北原まゆ(担当医)野村玲子
江間 隆(主治医)山口嘉三
権堂令子(医療ケース・ワーカー)田野聖子
森山啓司(早田健の弁護士)斎藤 譲
土屋 弘(精神科医)田代隆秀
川路明彦(早田健の弁護士)畠山典之
馬場 晃(病院の弁護士)山口研志
安藤一郎(病院の弁護士)志村史人
三村判事(裁判長)田中美央
  
演  出浅利慶太

 

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